Kazuhiro Hayashida
このリンクにある「コンドルは飛んでいく」の演奏は、中国の音楽家が伝統楽器で奏でているという点で珍しいものです。これらの楽器は日本にも古くから存在してきました。つまり、同じ演奏は日本でも可能だということです。
「コンドルは飛んでいく」に刻まれているのは、スペインの植民地侵略によって断ち切られたインカ王権の記憶です。王を失った民が、空を渡るコンドルの姿に、失われた主権への渇望と秩序の回復への願いを重ねる——そうした深い伝統の構造がここにあります。飛翔するコンドルの情景は、王のいない世界で、王その人の魂が空を旋回していることを語っているように見えます。
アンデスの伝統には、インカリの神話があります。スペイン人に処刑されたインカ王アタワルパが、いつの日か再び現れ、自らの王国を取り戻し、パチャママとその子らの秩序を回復するという物語です。インカリという名は、「インカの王」を意味するインカ・レイに由来します。この神話の中心にあるのは、失われた王の記憶であり、切断された王国の身体であり、奪われた主権が大地と祖霊の深みになお留まり続けているという確信です。王は地上から消されました。しかし王の魂は消えませんでした。それは山に、空に、祖霊に、土地に、そして民の記憶のうちに留まり、その魂がコンドルとなって現れるのです。
「コンドルは飛んでいく」のコンドルは、王の魂そのものです。王がもはや地上にいないからこそ、民は空を仰ぎます。そこを渡るコンドルは、失われたインカ王権の記憶を運び、祖霊の高みから、奪われた土地を、奪われた共同体を、奪われた秩序を呼び起こします。コンドルが飛び去るとき、そこに見えているのは、王なき世界に残された王の魂の通過です。
後年のケチュア語の歌詞において、コンドルへ向けられた呼びかけはきわめて重要です。「私を我らの土地へ、我らの家へ、あの冷たい山々へ連れて行っておくれ」「クスコの広場で私を待っていておくれ」——これらの呼びかけは、単純な郷愁を超えています。失われたインカ世界の秩序へ帰ることを求める声です。クスコは王権の中心であり、断ち切られた世界秩序の記憶が集まる場所です。冷たい山々は、祖霊とパチャママの世界へつながる場所です。断ち切られた王権の秩序へもう一度帰らせてほしいと、民がコンドルに呼びかけている——そのように聞こえます。
ここで重要なのは、帰るという言葉です。王へ、パチャママへ、祖霊へ、土地へ、共同体へ、主権へ、そして秩序へ帰ることです。植民地主義は土地を奪い、王を処刑し、共同体の時間軸を断ち切りました。その結果、民は自らの土地に立ちながら、自らの世界から締め出されたのです。
今日の日本人にとって、この世界において求められているのは、その王権の秩序を取り戻そうとする強い意志です。古の王は、侵略者の奴隷となった者たちを、空から見つめているのです。

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